“Pont”はフランス語で橋。
橋から見える景色。街の歴史を語り、人々の生活に溶け込み、時には物語を生む橋。
新作のポケットチーフは橋をテーマにデザインし繊細なラミー生地に刺繍しました。
刺繍はリュネヴィル刺繍をメインに。クロシェと呼ばれる鉤針で施すフランスの刺繍技法の1つです。針刺繍より歪みが少なく正確にさせる為スパンコールやビーズ等の装飾のない糸刺繍でもカットワークなど生地をぐるりと刺し囲む時はこの技法を使用しています。
ポケットチーフ・Pont N°1
製作過程を少しだけ。
6cm角程の色サンプルを作ってみました。
デザインした時はこの色だ!と思ってもsampleを作成し実際にコーディネートしてみるとこちらも...あちらも...と非常に悩ましい。
今回はシックな色合いと鉱物的な重厚感を持つ手刺繍のチーフを提案したくチャコール×チャコールに。
そして裏ステッチ。
表に比べやや大ぶりなステッチに見えますが、意外と細かく刻んでいます。
Point d’épine fermé というステッチなのですが表面の刺繍とデザインのバランスが良く、胸ポケットに挿すとテーマである「橋」を連想させるデザインに仕上がりました。
ステッチは沢山種類があるので素材や色の組み合わせも合わせるとバリエーションは際限なく増えていきます。こちらもとても悩みものですが、その時のコンセプトやデザインそしてリアルクローズとして想像しデザインを進めています。
上画像は表と裏の刺繍糸を色違いにして2トーンに。
最近ではお客様との対話で生まれる新しいイメージもとても大切にしています。
それはポケットチーフを作品として作り上げるのではなくコーディネートした時の印象を1番に考えているから。美しく仕上げることは前提に、その先を常に想像し製作に取り組んでいます。
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